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思っているほどには若くないゾ!

少しづつ腹が迫り出してきた。
 毎日ジョギングをやれば、いいとは思うけれど時間が無い。
 そこで、飲み会は軽めに切り上げて、帰宅すると、着替えももどかしく、腹筋運動を始めた。
 突然奇妙な行動を始めた夫の行動に、不審顔の女房を尻目に私は腹筋トレーニングを実行する。、
 ソファーの下に足を突っ込んで固定し、両手を頭の後で組んで、イチ、ニイ、イチ、ニイと三十回起き上がった。
 最後に伸びたままで一休みすればいいものを、
 「どうだ!もう一センチくらい締まっただろう」
 と安心して、台所の冷蔵庫からビールを取り出そうと、中腰でビールに手を伸ばした、その時それはやってきた。
 一気に腹が絞り上げられ激痛が襲った。
 一瞬、何が起きたかわからなかった。
 エビのように体を折り曲げ、まるでテレビドラマの中の銃で腹を撃たれた悪役のように、スローモーションで膝からガックリとフロアに崩れ落ちてしまった。
 女房はどうして良いか分からず、オロオロするばかり。
 「救急車?救急車を呼びましょうか?」
 「...!」
 声が出ないから、首を横に振る。
 私には、理由はすぐ分かった。
 腹筋の痙攣だった。
 運動をしていてふくらはぎに痙攣が起きることは時折あるが、腹の痙攣なんて考えたこともなかった。
 とにかく腹の表面だけに激痛が走り、腹筋の層が上下でんぐり返ったような感覚で、実際の時間は一〜二分だったのだろうが、ずいぶん長い間床にのびていた気がした。
 (ほら、力を抜いて)
 と自分に言聞かせながら、手のひらでゆっくりと腹の筋肉をほぐし、痙攣で再び曲がりそうな体をリラックスさせ、しばらく床の冷たさを頬に感じていた。
 ぬっくりと体の力が抜けて、自然な状態に戻ると、軽く筋肉が引きつった感覚は残っていたが痛みは引いた。
 すぐに動くと、痙攣が再発しそうなので、床に腰をおろした状態でしばらく休憩した。
 額に脂汗が浮いている。
 「おどろいたね」
 「驚いたのは、わたしよ。突然、キッチンの床に伸びてしまうんですもの」
 腹筋運動もたまにはやろうと思ってはいたが、脂肪が筋肉の間にしっかりと溶け込んで見事な霜降りになるとも聞いたので、それを言い訳にサボッていたが、現実にやってみると、こういう結果になってしまった。
 「これから一週間は朝晩一セットで十五回づつ、その後は一週間単位で五回づつ増やし、一セットで五十回できるようになったら、そのままで続けてみよう」
私は女房殿に高らかに宣言し、冷蔵庫から一本ビールを取出し、ポンッと栓を抜いた。腹筋を冷やすなら、外からより、腹の内側からビールで冷やすほうが効果的だろうと考えたのだ。






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