今回は、手術本番のはずなのに、何故か笑える内容なので、こちらの「癒し系」に起きます。(これから経験する人にとっては安心材料になるでしょう)
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精密検査の2週間後、1泊2日の予定で大腸ポリープの切除手術を受けました。
前日と当日の朝は、精密検査の時と同様に下剤攻めで大腸を空にし、「恐れ」半分と「何とかなるさ」半分で病院へ。
何も知らなければ「カメラの先の輪っぱでチョキンチョキンと2回切って日帰り手術」と、気軽に済まされたのに、「腸に穴が開くこともあるんですよ」とか「5ミリでも悪性(大腸ガン)のものもあるんですよ」と院長先生が脅すものだから、少々気弱になってしまいます。
当日手術を受ける人は3人。
私の前が60代の人で、奥さんの話では3年前に他の病院でポリープが見つかったけれど「良性」だと言われたのと、切るのが痛いと聞いて放っておいたのが成長し、とうとう切ることになったとか。
「ここの先生の手術は痛くないと聞いてやっと決心したんですよ」という奥さんの話に、こちらも少しほっとするのでした。
もう一人は私の後で、まだ30代と思われる女性。こちらは勤務先の健康診断で精密検査に回されポリープが見つかったとか。
とにかく3人とも「スネに傷持つ身」ではなく「大腸にポリープを持つ身」の仲間意識で、本人も付き添いもおしゃべりを続ける。うちのカミサンには来なくて良いと言ってあったけれど、いつの間にか後に立って話に加わっていました。
10分ぐらいと思っていたのに私の前の人は30分以上かかっている。
ときどき「もう一回」という声も聞こえる。(田舎の小さな病院なので手術室も普通の部屋のため、話し声がドアの向こうから聞こえるのです。ただ、腕は良い医者とのこと)
やっと終了してその初老の男性が出て来ます。でも介添えが必要なわけでもなく、奥さんと一緒に自分の個室へ向かいました。
そういえば6人部屋は差額ベッド代無料ですが、2人部屋は6000円、個室は10,000円かかるのです。
私はもちろん6人部屋。
カミサンは「2人部屋ぐらいにしたら?」とは言ったのですが、6人の中にいびきの大きい人がいる確率も、2人部屋でもう一人の人のいびきが大きい確率もそんなに変わらないだろうと思ったのと、そもそもこの私が鼾が大きくてカミサンにしかられている口なので、大部屋にしたのです。
私の番になり、手術台に上ります。
手術の担当は院長先生ではなく若いインターン風の方です。
空の大腸に内視鏡が入ってくるのがよく分ります。
「まずS字のものから取りましょう」
「イテテ。熱い!」
「あっ、痛いですか?それはいけません。神経が通っていますね。ちょっと待ってください。今度はどうですか?」
「あの、返事をする時間がある程度にゆっくりすすめてもらえますか」
尻からカメラを入れられているのに話をするというのはどんな手術だ?
と思いながらも一言いっておく。
「そうですね。で、どうですか?」
「ダイジョーブのようです」
「じゃ、君、はい、引きながら押して・・・」
アシスタントの看護婦さんに話している。
<おいおい、看護婦さんのトレーニングに人の腸を使わないでくれ>
と思いながらも、カメラを突っ込まれている立場の弱さで、黙っている。
<ヘアーサロンなどで、練習台になってくれる人は無料、などという話は聞くけれど、練習だから「ザンギリ頭」になっても文句は言えない。じゃ、私のポリープの切り痕がぎざぎざでも文句は言えないのか?
そんな事はない。第一練習台になることに同意していないし、高い料金も取られる筈だ>
と考えていると、ぐらぐらっと今度は大きな揺れが来た。
「キャー」(看護婦さんの悲鳴)
「騒がないで!!」(婦長さんらしい年配の看護婦さんの声)
「すみません」(悲鳴をあげた看護婦さん)
しかし、素晴らしいタイミングで地震が来たものです。
幸いすぐに揺れは収まり、止まった手が手術を再開します。
「ああ、良かった。取れました。あっ、切り取ったポリープを落としてしまいました。探します」
腸の中で何かが動き回っています。
「見つからないから後回しにして、盲腸の近くのを取りましょう」
大腸の中をあちこちにぶつかりながらカメラが進んでゆく。でも、胃の真下辺りから前に進まない。
「君、おなかを押さえて」
指令に看護婦さんが胃の下辺りを押さえる。しかも思いっきり強く。どうやら曲がった腸をまっすぐにして、カメラを通そうということのようです。
息が止まるほど押さえられるわ、カメラが曲がり角に当たって痛いわで、こちらの気分は殆どエビ反り状態。
やっと盲腸の近くでカメラがもそもそと動くのが感じられ、まさに「通った!」と感激。
<なんちゅう手術や!!>心の中で叫びます。
「遠いので結構難しいんですよ」
言いながらカメラを前後左右に動かし、
「ああ、ありました。痛くないですか? あっ、取れました」」
言いながらもう切除を済ませている。
麻酔無しの手術なのに切除そのものは殆ど痛みは無い。それよりその前の内視鏡が大腸の内壁を擦るほうがずっと痛い。
なにしろそれから暫く、先に切り落としたポリープを探すのに、またカメラが何度も前進後退を繰り返し、挙句のはてには
「見つからないから諦めましょう!」
「でも、見つけて検査に回さないと悪性か良性か分らないでしょう」
「いや、きっと良性ですよ」
という楽天的な会話が交わされ、カメラを抜き去ったと同時に
「先生、出てきました。2つ目が出てきました!」という看護婦さんの声に拍手が起きたぐらいで、(カメラの先から掃除機のように吸い込んで外に受けた金盥(かなだらい:ボウル)に放出される仕組みになっています)、本当に再び<なんちゅう手術や!>でした。
10日後には検査の結果がでるそうですが、受けた本人が一番笑った手術ですから、ポリープも良性だったと信じているのです。
(だからこの原稿も書けるのです)
この続編を書かなくて済むことを祈りながら・・・。
2003.5.17
その後:(2003年6月1日)
先週、検査結果を聞きに病院へいくと、待つ事2時間半、やっと順番がきて院長先生と話せたのですが。
「あ、やっぱり悪性でしたね。5ミリも8ミリも両方です。でも、きちんと取れていますから、今後は6ヶ月に一回ずつ検査をしましょう。体質的にできやすいと思われますから、まだどんどんできてくるでしょうから、どんどん取りましょう。それで大丈夫でしょう」
待ち時間の割に説明は1分もかかりませんでした。
悪性腫瘍=ガン の等式を持つ私としては、もう少し説明が欲しかったのですが、まあ、説明が少ないのは重大事ではないのだろうと、納得することにしました。
しかし、これから死ぬまで、6ヶ月に1回、トイレに何度も駆け込んで腸を空にし、内視鏡を突っ込まれて大腸を引っかきまわしたり、パチンパチンとポリープを切るかと思うとうんざりします。
しかし、最悪の事態は避けられたので、良しとしましょう。
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