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マーメイドとの再会
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夫婦で欧州の旅行に一度行ったことがあります。パリージュネーブ五日間の旅だったと思います。
これは旅行会社のパッケージツアーに乗ったので、ただ添乗員の言う通りに動いていれば良い旅行でした。私自身は何度か行ったことがあるところばかりでしたが、パリ以外は学生時代の貧乏旅行だったので料理に関しては変化を楽しめましたし、妻にとっては初めてのヨーロッパ旅行で、十分に堪能したようでした。
ジュネーブからコペンハーゲン経由で帰国の途につきました。
コペンハーゲンでは待ちあわせ時間が4時間ありました。
ただ4時間、トランジットルームで待っていても仕方がない、ということで、ツアーで知りあいになった女性2人と、コペンハーゲンでの途中下車を敢行することにしました。
心配そうな添乗員と他のメンバーを残して入国手続きを済ませます。
幸いデンマークは日本人はビザが不要の国だったのですんなり通過できました。実はこれが一番心配だったのです。空港の外に出たは良いけれど、二度と飛行機に戻れないでは大変です。
つぎの問題は時間でした。4時間のうちに帰ってこなければなりません。人魚までどれほどの距離があるか覚えておりません。一度行った時には国鉄の駅からでしたから、空港からの距離はまったくわかりません。入国ロビーを駆け抜けると4人はタクシー目指して疾走しました。
息を切らせてタクシーに乗り込むと「マーメイド!」と一言。これで十分でした。
運転手は大きく頷くとアクセルを踏み込みます。空港を抜け、赤い煉瓦色の屋根の住宅や近代的なビル、宮殿風な建物が後ろへうしろへ流れて目の前から建築物が消え浜辺に出ました。
その浜の波打ち際にひっそりとたたずむ黒い影こそあの「人魚」の像でした。
私にとっては五年振り、かみさんにとっては初めての対面でした。
観光客の姿も二三人みえますが、日本の観光スポットのように、あるいは上野のパンダ舎の前の人の波のようなことはありません。
近くでは地元の子供たちが水遊びに興じています。小波に洗われる小さな岩の台の上で静かに遠くを見つめる可憐な姿。遠くの渚から子供たちの歓声。
同行の二人の女性も満足そうです。
その後、待たせていたタクシーに乗って「世界で一番美しい」と言われていたチボリ公園に行き、小一時間散策を楽しみ、余裕をもって四人そろって機上の人となることができました。
機内では添乗員に心配かけたお詫びをしながらも、「パリージュネーブの旅」に「コペンハーゲン」を追加できたことを祝して乾杯したことでした。
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