以前、胃癌検診に行ったときの話です。成人病予防のために地区の行政機関が推進しているキャンペーンにつられて行ってしまったのでした。 例によって、検診用の白い服に着替えて、胃の蠕動を抑える注射を打ち、大きなコップになみなみと入ったバリウムを飲み、可動ベッドの上で柔軟体操のように体をひねってX線撮影をし、最後の下剤を一口飲んで終わりです。
それで終わりとおもったら、医師が
「ついでに他の検査もどうですか」
と言うのです。
エコーによる検査だという。
上半身裸になり、センサーと肌の隙間を埋めるためクリーム状の薬を塗り、電気カミソリ程度大きさのセンサーを当てて、滑らせてゆきます。
「腎臓に結石がありますね」
「そういえば、最近、夜中に激痛が走り、体を折り曲げて、十分ほどウナッたことがありますよ」
「きっと、小さな石が下に降りたんでしょう。それに、肝臓がちょっと普通じゃないですね」
「はあ、飲みすぎて腫れているんでしょうか?」
「いや、穴があいていますね」
先生は以外に冷静に、とんでもないことを言う。
「どんな...」
「いいですか、このモニターを見ていてください。」
「......」
「ほら、これですよ。こんな穴は普通の肝臓にはないものです。ほら、こちらにも、もうひとつ....」
たしかに、モニターの画面に穴があいた臓器が映っています。
(で、普通でないなら、どうだと言うんだ?)と、聞きたい。
「二ヵ月ほどたったら、また来てください。どう変化するか見ましょう」
そうしているうちに、先程の胃のレントゲン写真が出来上がって来ました。
服を着て、先生の机の前に張りだされた自分のレントゲン写真を見ます。
「この辺に、初期の潰瘍がありますね。胃は痛くないですか。」
「少し、仕事が忙しくなると、鳩尾の辺りが痛むことがあります。」
「やはりそうですか。では、今日は胃の薬と、腎臓の石を溶かす薬を出しておきます。肝臓はしばらく様子をみましょう」
やれやれです。一度に三つも病気を見付けられて、少々疲れました。
しかし、三年ほど前の、大腸癌検診に較べれば検査そのものは、楽でした。
まったく、大腸癌検診の大変さと来た日には、準備だけで病気になりそうでした。
検査の二日前からレトルト食品風なおかゆと下剤攻め。
検査そのものも、胃がん検診と同じくレントゲン用の可動ベッドに腹ばいになり、お尻から空気を送り込まれてビックリしました。
これでは、子供の頃遊んだカエルと同じではないか、「カエルのたたりだ」、と心の中で叫んだものです。
そう、子供の頃、田圃のカエルをつかまえて、ムギワラのストローを使ってカエルのお尻から空気を吹き込み、まるまると膨れたカエルを泳がせたことがありました。
よたよたと泳ぐカエルを笑ったムクイが、いま自分に降りかかっている、とおおいに反省したのでした。
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